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大阪地方裁判所 平成3年(わ)1693号 判決 1992年1月14日

本籍

大阪府貝塚市三ケ山六六七番地

住所

大阪府貝塚市三ケ山一四五一番地の四

会社役員

嶌﨑誠二

昭和六年八月一五日生

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円に処する。

この罰金を完納することができないときは、金一五万円を一日に換算した期間(端数は一日に換算する)被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、大阪府貝塚市三ケ山四四七番地において、服地加工業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと考え、

第一  昭和六二年分の総所得金額が一億二一九七万五五一三円(別紙(一)総所得金額計算書、修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、売上げの一部を除外し、よって得た資金を仮名預金等として留保するほか、実際の所得金額と関係なく、過少な所得金額を記載した内容虚偽の所得税確定申告書を作成するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和六三年三月一五日、大阪府岸和田市土生町二丁目二八番一号所在の所轄岸和田税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年分の総所得金額が四六八万三〇〇〇円で、これに対する所得税額が三一万一九〇〇円(ただし、申告書は誤って三〇万七〇〇円と記載)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額六〇八〇万二八〇〇円と右申告税額との差額六〇四九万九〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた、

第二  昭和六三年分の総所得金額が一億二一八一万二六五二円(別紙(二)総所得金額計算書、修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、平成元年三月一三日、前記岸和田税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が五四八万円で、これに対する所得税額が三七万七二〇〇円(ただし、申告書は誤って三五万三八〇〇円と記載)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額五六三二万四五〇〇円と右申告税額との差額五五九四万七三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた、

第三  平成元年分の総所得金額が一億三七七万五四五一円(別紙(三)総所得金額計算書、修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、平成二年三月一五日、前記岸和田税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が五五二万一八二五円で、これに対する所得税額が三七万二〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額四六〇九万九七〇〇円と右申告税額との差額四五七二万九五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた。

(証拠)

(注)括弧内の算用数字は検察官請求番号を示す。

全部の事実について

1  被告人の

(1)  公判廷における供述

(2)  検察官に対する供述調書(84、85)

(3)  質問てん末書(64ないし83)

2  竹川進(41)、樽井義弘(42)、坂上哲也(43)、平山征途(44)、吉田晨二(45)、梅田洋一(47)、西坂美千男(48)、嶌崎アサ子(49ないし59)、嶌崎宮子(60ないし62)、平松卓三(63)の質問てん末書

3  査察官調査報告書(7)、査察官調査書(8ないし10、12ないし17)

4  竹川進(18)、都築正男(19)、吉田晨二(21)、山田完(33、34)の確認書

5  南部尚録(30)、吉田武彦(37)、小坂田嘉雄(40)の回答書

第一の事実について

6  高島美紀男(25)、矢部登(26)、阿部進(28)、北野勇(29)、新田晒工業株式会社(32)の回答書

7  岸和田税務署長の証明書(4)

8  脱税額計算書(1)

判示第二、第三の事実について

9  査察官調査書(11)、調査報告書(35)

10  渡邊シゲ子(22)、坂東文雄(23)、小池智栄子(31)の回答書

第二の事実について

11  小川俊尚の確認書(36)

12  神藤岩雄の回答書(24)

13  岸和田税務署長の証名書(5)

14  脱税額計算書(2)

第三の事実について

15  寺下裕子の質問てん末書(46)

16  調査報告書(20)

17  熊田明弘(27)、東洋信託銀行大阪支店(38、39)の回答書

18  岸和田税務署長の証明書(6)

19  脱税額計算書(3)

(法令の適用)

罰条

所得税法二三八条一項、二項(懲役と罰金とを併科)

併合罪の処理

刑法四五条前段、懲役刑については、刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第一の罪の刑に加重)、罰金刑については、刑法四八条二項

労役場留置

刑法一八条

執行猶予(懲役刑)

刑法二五条一項

(出席した検察官 宮下準二、弁護人阪口春男、岩井泉)

(裁判官 仙波厚)

(別紙一)

総所得金額計算書

<省略>

修正損益計算書

<省略>

(別紙二)

総所得金額計算書

<省略>

修正損益計算書

<省略>

(別紙三)

総所得金額計算書

<省略>

修正損益計算書

<省略>

(別紙四)

税額計算書

<省略>

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